編集長のブログ55 30年度改定に向け「在宅歯科医療」を審議
第369回中央社会保険医療協議会総会―平成29年11月10日
中央社会保険医療協議会(第369回)が11月10日(金)、厚労省内で開催され、「診療報酬改定結果検証部会からの報告について」「在宅医療(その3)」について議論が行われました。「在宅医療(その3)」の「在宅歯科医療」の議論では、日歯常務理事の遠藤秀樹委員は厚労省案に一定の理解を示したうえで、日歯としての考えを述べました。
遠藤委員は、歯科の訪問診療は増加傾向にあるものの、在宅療養支援歯科診療所(歯援診)やかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)を中心に実施されているが、「さらなる推進が必要」との考えを示しました。小児に対する訪問診療についても同様に増加傾向にあり、その対応の評価が必要と述べました。
また、「かかりつけの歯科医による訪問診療が基本」としながらも、患者の需要等から在宅における専門的医療機関の必要性に理解を示しました。ただし、在宅専門の医療機関については「診療における専門性を発揮するとともに、地域の中での連携を図ることは欠かせない」と主張しました。
訪問歯科衛生指導料の見直しについては、社保審の介護給付費分科会でも居宅療養管理指導費について議論されていることに触れながら、「歯科医療は外科的要素の強い診療であり、患者の求めにより予定の追加や変更が随時発生するケースが多いため、月毎の患者数を予め想定する等の対応は困難」と説明し、在宅歯科医療の推進を阻害することのないような対応を求めました。また、複数の患者を同時に40分以上指導(集団指導)することに関する見直しについても、現場に支障を来さないよう慎重な対応を求めました。
栄養サポートチーム連携加算の見直しについては、「栄養サポート等における口腔機能管理は重要」と述べ、今後のさらなる推進に向けて賛同の意を示しました。
さらに、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料について、算定要件である「30分以上」は寝たきり患者に対しては負担が大きいため、分割して実施されるケースも多いことなどを説明し、現場の実態に合わせて臨床上効果的な見直しを求めました。
「在宅歯科医療」の議論ではその他、全国健康保険協会の吉森俊和委員より「訪問歯科衛生指導料は、時間や人数で評価するのではなく、実施した内容で評価するべき」、日本労働組合総連合会の平川則男委員より「現在の訪問歯科診療の実施は、患者数に対して充足されているのか」といった意見・質問が上がりました。こ
れに対して、厚労省保険局の小椋正之歯科医療管理官は「訪問歯科衛生指導料は実施した内容で評価すべきとの意見は理解できるが、現状では評価すべき指標がないため、人数と時間で評価している」「訪問歯科診療は、すべての高齢者が抱える口腔の問題に対応できるほどに充足していない」旨、回答しました。