編集長のブログ㉔ 川原春幸先生が亡くなられました
先日、川原春幸先生の訃報に接しました。業績に対しては、賛否両面からの声を耳にしますが、その人となりは、とても魅力あふれる先生でした。
弊誌『季刊 歯科医療』のかつての名物シリーズ「この先生に聴く」にご登場していただいたのは、2009年春号です。そのときのタイトルは「信念をもって我が道を進む」
当初の校正段階では先生の業績にちなんだ堅いタイトルを付けていたのですが、川原先生の人物像に何となくそぐわない感じがして、編集部でタイトルを付け替えたところ、大層気に入ってくださいました。
そして、本記事の別刷りを、卒寿祝いに配る記念品として発注されました。
実は、この表紙デザインをされたのも川原先生ご自身です。弊社のデザイン草案に対し「配色のバランスはこうするんだ!」との厳しいダメ出し。それがまた的確なのです。この表紙のご本人の写真も、まるでデザイナーか有名建築家のようです。とにかくお洒落でセンスが良いのです。そして、言いたいことをはっきりと言う。
先生は若い頃、恩師から「ほら吹き」だとたしなめられたそうです。しかし、「ほらは吹くが嘘はつかない。嘘には虚偽しかないが、ほらには夢がある」と反論し、「私は一生ほらを吹き続けます」と宣言したところ、恩師も黙ったそうです。
川原先生は、ほらを吹くには度胸がいる、ともおっしゃっていましたが、私には未だにほらを吹く度胸はありません。しかし、洒脱で痛快な川原先生の歳の取り方には、あこがれは感じています。心よりご冥福をお祈り申し上げます。